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書籍「コメントする力」(竹田圭吾)

書籍「コメントする力」(竹田圭吾)

【新聞で自分のポジショニングを知る】

新聞の発行部数の減少が止まらないようです。その傾向は世界的なもののようですが、わが国でみると2000年には一世帯当たりの部数が1.13と1を上回っていたのに、23年には僅か0.49まで減少しました。今や2世帯に1部しか取っていない状況です。

もっとも実際の肌感覚で言うと、ホントにまだ2世帯に1部も取っているのだろうかという印象です。というのは、街に新聞配達員の姿をほとんど見かけませんし、周りをみても新聞を手にしている人はいません。若い人は特に顕著で、完全にオワコンと位置付けられているようです。

しかし、私は新聞のコンテンツとしての価値は未だ高く、全然終わっていないと思っています。むしろ、皆が読まなくなっている今だからこそ、相対的に高まっているとさえ感じています。

とりわけ、仕事でそれなりの成果を出したいと思っている人は絶対に読むべきです。なぜなら、新聞は自分(のシーズ)から社会(のニーズ)を見るときにスコープの役割を果たしてくれるからです。あるいは、自分(の仕事)の社会的な位置づけを確認するためのツールと言っても良いかもしれません。

先日、若者A君とそんな話していると、彼は言いました。

「でも、新聞に載っている記事なんて、ぜんぶネットニュースで読めますからねェ。一か月に何千円も払って、あんなかさばるものを取るなんて有り得ないっスよ」

「リアルペーパーで読まなくても良いのさ。今は電子版もあるからね。タブレットで読むといいよ」

「タブレットねえ……」

「うん。それも、実際の紙面通りに読める紙面ビューアーで読むといいよ。どんな記事を紙面のどこに持って来ているのか、その見出しの大きさがどうなのかで……」

「まあ、確かにネットニュースではその辺はわかりませんけどね」

「あるいはどんな話題をどこのコラムで扱っているのかとかね。つまり新聞社が社会の情報を紙面という限られたスペースに編集してくれているのさ」

「でも、あんなの全部読んでいる時間なんてないっスよ」

「もちろん、全部読む必要なんてないよ。各面の見出しをさらっと見て、自分の関心のある記事だけ読めばよいのさ。それを毎日、定点観測的に続けることが大事なんだよ」

と私。ほとんどは、この本の受け売りです。A君は最後まで「そうっスかあ?」とあまり納得していない様子でしたが、志のある方は是非やってみてください。5年続けたら、仕事での発言力(コメント力)が格段と上がっていることに気付くと思います。

ちなみに本書の著者は、きわめて優れたコメンテイターでした。奇をてらう発言をすることなく、的確に論点を整理し、誠実で知的なコメントをしていた印象があります。早逝されたのが残念でなりません。

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