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書籍「オセロー」(シェイクスピア)

書籍「オセロー」(シェイクスピア)

【私を愛してるなら……って言われてもねえ】

世の中、何が厄介かってったら、猜疑心ほど厄介なものはありませんな。ひとたび生まれれば、それは際限なく膨れ上がるってぇもんです。

とりわけ妻の不貞や付き合っている彼女の浮気が、その対象だったりすると目も当てられませんや。普段どんなに威勢のいいことを言ってたって、一旦これに苛まれるてぇと、このオセローのようにシオシオ~ってなっちまう。まあ、惨めなもんでさあ。

へえ、あっしにも覚えがありますよ、そりゃあ。

「私のこと本当に好きなら、信用してよ」

そんなとき、女性は大抵こう言いますな。しかし、あっしが彼女を本当に好きなことと、彼女が浮気することには何の関係もないじゃありませんか。あっしがいくら彼女を愛していようと、彼女があっしを愛していない限り、いくらでも有り得るってぇもんでしょ。そして、彼女があっしを真に愛しているかだなんて、分かりようもありませんや。

――だとしても、オセロー。あんた、もう少し「そんなはずはない」とかって思おうよ。やっぱり美しい妻に不釣り合いな自分を恥じていたんだろうなぁ。わかるよ、それも。落ちはないけど、お後が宜しいようで。

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