書籍「おじさん図鑑」(なかむらるみ)
【おばさん図鑑もつくって欲しい】
このところネット上で、「おじさんパーカー問題」が喧しい。とある女性脚本家がYouTubeで、「40歳近くでパーカーとか着てるおじさんって結構おかしいと思うんですよ」などと発言したことに対し、ホリエモンとかひろゆきなどが挙って噛みついたというのである。まあ、そんなことで言い争いになる日本という国はあらためて平和というか、暇人が多いというべきか……。
所詮、その脚本家一個人の感想である。なんで、「ああ、一部の女性からはそう見られているのね」とスルー出来ないのだろうか。ホリエモンなどはくだんの脚本家を「あのクソ女は……」とまで罵っているが、おベンキョーはできたかもしれないが、またおカネも稼いだかもしれないけど、きっと自分に自信がないんだなあ、小さな男だな、と見えてしまう。
少し前の話になるが、この秋の自民党総裁選の際に、タレントのトラウデン直美がテレビで歴代首相の居並ぶ総裁選ポスターの感想を求められて
「う~ん、おじさんの詰め合わせって感じがするんですけど」と苦笑したところ、これにも批判が殺到したと言う。曰く、
「男がおばさんの詰め合わせって言ったら謝罪させられるのに」
「男性差別か⁈」等々。
やれやれ……。実際、「おじさんの詰め合わせ」なのだから仕方ないだろ、と私には思える。お爺さんの…と言われなかっただけ未だましだろうと。
これら「おじさんパーカー問題」にしろ、「おじさんの詰め合わせ発言」にしろ、共通するのは「おじさん」という言葉に反応し過ぎだということだ。これは、「おじさん」と呼ばれた瞬間に「=ダサい」のレッテルを張られたと捉える傾向が巷にあるからだろう。
でも仕方ないではないか。40歳を過ぎて中年と言われる歳になったら、男であれ女であれ、それはもう立派な「おじさん」であり、「おばさん」なのだ。まさか図々しくも未だ「おにいさん」や「おねえさん」などと呼ばれようと思っていないだろうね?
子どもの頃、若い女性に「おばさん」と言ったら、近くにいた母親から「馬鹿っ、おねえさんでしょ!」と叱られたが、子供にとって「おねえさん」とは年上の女の子のことだ。大人の女性は若かろうが歳を取っていようが、すべからく「おばさん」なのだ。
それと同じように、若者からすれば中年の男は皆「おじさん」なのだ。そう呼ばれていちいち傷つくなんて、いくら何でもおこがましいにもほどがある。ましてやホリエモンのように相手を罵らなければ気が済まないなんて……。そうした応じ方こそが「=ダサい」のイメージをつくっていることに何故気が付かないのだろう。
だからさ、女性も中年になったら「おばさん」と呼ばれたからって、いちいち怒らないでね♡(って、こりゃまた怒られそうだな……)。