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映画「日日是好日」(監督 大森立嗣)

映画「日日是好日」(監督 大森立嗣)

【頭で考えてはいけない】

昔、少林寺拳法を習っていたときに、

「武道には『守・破・離』という習得段階がある」

と教わった。「守」とは師のやり方を真似る段階、「破」は師のやり方に自分の味を少しずつ取り入れる段階、「離」は師のやり方から完全に離れ、独自のやり方を確立する段階──そんなことだったと思う(なにぶん40年以上前のことなので、いい加減な記憶である)。

これが元は武道の教えではなく、千利休の言葉だと知ったのは、ずいぶん後のことだ。

茶道に限らずものごとを習得したいのなら、理屈で考えるな。まずは徹底して型を真似ろ! というわけである。要は恰好から入れということだ。

これが意外と難しい。劇中の典子(黒木華)や美智子(多部未華子。多部ちゃん♡)のように、「なぜ、そうするのか?」という疑問が常に邪魔をするのである。

しかし、ここでは頭で考えることはご法度だ。師(樹木希林)の完コピを目指して、自然と身体が動くようにならなければいけない。

長い時間をかけ、そうする中で典子が言うように

「そうか、こういうことだったんだ」

と分かってくるもの──らしい。

私は駄目だった。「守」も出来ていない段階で、もっとこうした方が良いのではないか、ああすべきではないか、ということばかり考えてしまったからである。そうすることで、短期的な小さなもの(武道で言えば目の前の強さ)は得られても、典子が実感した日日是好日のような大きなものは決して得られないのである。

画像引用元 ホミニス

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