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映画「ラストレター」(監督 岩井俊二)

映画「ラストレター」(監督 岩井俊二)

【時の経過はときに残酷だ】

岩井俊二はこの年代の少女を描かせたら当代一だな、とあらためて思った。古くは「花とアリス」の蒼井優と鈴木杏。「リリィシュシュのすべて」の伊藤歩も好かった。さらに時代を遡れば「Love Letter」の中山美穂。

その意味では、彼の作品において主役の少女を誰が演じるかが大きい。この広瀬すずも、もちろん悪くない。悪くないが、彼女では美少女すぎる。広瀬のそれが際立ち過ぎて、彼女の妹役を松たか子が務めたのだが少々無理があった。他人に間違われるほど似ている姉妹というのがストーリー上のポイントだからだ。松たか子が美しくないと言いたいわけではない。美しさの系統が違うと思うのである。

そもそも、これを観ていない人は、松たか子が広瀬すずの妹役と聞いただけで、歳の関係がおかしいだろ、と思うに違いない。物語が思い出と現実を行ったり来たりするので、そういう配役でも成立するのだが、それでも違和感があって混乱する。

いや、待てよ。監督・岩井はそれも織り込み済みなのだろう。この物語のテーマのひとつは「時の経過」にある。そして、それは往々にして残酷であったりする。意気揚々と卒業式で「何にでもなれる」と答辞を読んだ主人公・美咲(広瀬すず)のその後が象徴するように。

卒業後20数年ずっと美咲との思い出に生きてきた乙坂(福山雅治)から、美咲の人生を壊し、自死に至らしめた──と責められたろくでなしの遊び人・阿藤(豊川悦治)は、

「あいつが死んだのは俺のせいだ。そうだ、違わねえよ。だが、お前のせいじゃない。お前はあいつの人生に何ら影響を与えてないんだよ」

と、乙坂に言い放つ。その阿藤の今の同居人は中山美穂が演じる。そう、あの「Love Letter」で真っ白な雪の中を好演した二人だ。だが、ここではどす黒く人生に疲れた男女である。まさに時の経過を感じさせる。

時が移ろえば顔も変わるのだ。広瀬すずの妹を松たか子が演じたっていいじゃないか。

画像引用元 映画ナタリー

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