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映画「オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分」(主演 トム・ハーディ)

映画「オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分」(主演 トム・ハーディ)

【小さな寂しさは大きな寂しさを招く】

クルマの中での電話のやりとりだけで、1時間半弱(邦題にある「86分」は映画の長さそのもの)を持たせるという、なかなか野心的な作品です。しかし、決して退屈はしなかったのです。

先日、シェイクスピアの「オセロー」について書いた時に猜疑心というのがこの世で一番厄介だと言いましたが、寂しさってやつも相当なものです。それさえなければ、この家庭的で優秀な技術者である彼が、間違いを犯すことはなかったでしょう。

この彼を単身赴任中に浮気をしたゲス野郎だと批判することは簡単です。しかし、それでも全てを失う覚悟で、自分の犯した過ちに誠実たらんとする彼は、なかなかどうして見上げた男だと思います。

さて、このあと彼はどうなるのでしょうか。妻子を失うことは確実でしょう。かといって、浮気した相手に愛情はないから、そこにも行けません。ちょっとした寂しさを埋める行為が、大きな寂しさを招くことになりそうです。それでも、今夜の彼の行動に後悔はして欲しくありません。

もっとも、寂しさってやつは、ひとたび乗り越えれば、自由という名に様変わりします。私も浜松で何十年ぶりかに一人暮らしを始めましたが、一人を、すなわち自由を満喫しています。起きたいときに起きて、食べたいときに食べて、遊びたいとき遊んで、寝たくなったら寝る。何をするにしたって、誰に気兼ねすることも誰に咎められることもありません。一人ってサイコー!(って、映画のテーマとはズレちゃいました。)

画像引用元 MOVIES WALKER PRESS

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