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小説「アルゼンチンババア」(よしもとばなな 作)

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【服が欲しい】

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令和4年1月下旬、新しい服が欲しい。ネットを観ても雑誌を見ても、ピンとくる服がない。街に出たら出会えるのかな。アルゼンチンババアの中にはどんな服があるのかな。私は、小説の中でも服探しを始めてしまった。それは、忙しく目まぐるしい仕事の日常から、ほんの少し解放された休日の緩んだ時間のこと。

書き出してみると、驚くほど服の描写は少なかった。4つだけ。①ものすごい厚化粧と派手な服装。②古ぼけたウールの黒いワンピースを着て、偽真珠のネックレスをしていた。しみだらけの黒い服。③清潔に洗われたパジャマ。④黒い服を着てユリを持ち虹色のベールをかぶった……と。

いや、あとひとつある。これがいい。それは、「お母さんの体から、お母さんの魂がいなくなった時、私はその冷たい体を見て何回も思った。お母さんはこれに乗って旅をしていたんだ。」という文章。体は乗り物で、それに乗れば、旅をすることが可能になる。私も、既に体に乗って旅するように生きている。そう感じた瞬間、私の内側から幸せが湧いてきた。

アルゼンチンババアを読み終えたら、すっかり新しい服への欲は消えていた。冬晴れの穏やかな昼、休日の緩やかな時間、私の体に乗って近所を旅するように散歩に出かけた。

服は既に着ている。「服が欲しい」から「大切に慈しもう」に変わった。令和4年1月。

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