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小説「共喰い 」(田中慎弥 作)

【郷里を捨てるか、父親を殺すか】

私も父親を嫌悪していました。父親が亡くなって十数年経つので、その気持ちは幾分薄れましたが、この先も決してなくならないでしょう。
 
私たち親子を知る人に言わせると、私たちは性格がよく似ているらしいのです。似ているがためにぶつかるのだと言うのですね。
「この俺があの親父に似てる? まさか」
とは思うものの、自らを虚心に顧みれば、そうかもしれないとも思います。
 
しかし、性格だけならまだしも、この主人公のようにもしや性的嗜好まで ……、と思うとゾッとします。だから、この主人公の気持ち──生まれ育った郷里を離れるか、育ててくれた父親を殺すか──はよくわかります。私は前者を選択しました。
 
さて、五〇を過ぎたある日、鏡を見て私は愕然としました。自分の顔つきが親父に似てきたことに気づいたからです。幼いころから父親似だった兄と違って、私はずっと母親似と言われてきたのに……。そして、六〇を過ぎて、二度と帰らないつもりだった郷里に戻ってきてしまいました。

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